ホーム > EHS&S研究センター > セミナー

EHS&S研究センター

セミナー

EHS&S研究センター セミナー2019

日 時:2019年10月8日(火) 13:30〜16:30(開場13:00)
会 場:サンケイプラザ(東京・大手町)

テーマ:「持続可能な社会に向けた街づくりと課題」

■「人口減少時代の都市計画」
饗庭 伸 氏 (首都大学東京 都市環境学部教授)

■「給電方式の変遷と今後の直流給電の可能性」
山下 隆司 (NTTファシリティーズ総合研究所 EHS&S研究センター 上級研究員)

■「都市とセンシング」
大島 一夫 (NTTファシリティーズ総合研究所 EHS&S研究センター センター長)

印刷用ページ(PDF)はこちら

 人口減少・高齢化、エネルギー、情報セキュリティ、頻発する自然災害など、都市やファシリティを取り巻く課題は山積している。 このような中、EHS&S研究センターでは、「持続可能な社会に向けた街づくりと課題」をテーマにセミナー2019を開催した。会場は満席となり、関心の高さがうかがえた。

 饗庭伸教授は、「人口減少時代の都市計画」と題し基調講演を行った。 日本の人口は、2008年の1億3千万人がピークで、都市は最大の人口密度であった。明治初期の3千万人の人口から150年かけて1億人分の都市をつくってきたことになる。この過程で「人口が多く都市空間が小さい“過密”」を経験してきた。”過密”の問題は、伝染病・火災・地震などの災害に弱いことである。現在では過密は解消し、まあまあ良い都市になっている。 今後、人口が減少する中で「人口が少なく都市空間が大きい」過疎になることを都市計画家は恐れている。過疎による懸念として、空き家が多くて治安が悪くなるという現象が考えられるが、現時点ではまだ起きていない。 以前、都市空間は縮小するだろうという仮説を立てその境界線を探しに郊外に向かった。しかし郊外には大きい家、良い家が出来ている。一方、途中には空き家、空き店舗がある。この状態がスポンジのように見えるのでスポンジ化と呼ぶことにした。今後スポンジ化は避けられず、これに付き合っていくことになる。 スポンジ化は、人口減、世帯減、住宅減の順に現れる。世帯減のあと住宅減になるまでの時間は、空き家を売る気がないため長くなり、空き家がたくさんある状態になる。このように都市のスポンジ化のスピードは遅くゆっくり変わる。時間があるのでいろいろな手法が使える。 手法の具体例を紹介する。東京郊外では、空き家を使ってシェアハウス・シェアオフィスとし、通りから見ると公園のような空間をつくった。地方都市では空き家・空き地の流通をはかるためのNPO法人をつくった。そして空き家を除去し道路を新設・拡幅して若い世代が引っ越してくるような取り組みを行った。いずれも多くの人に参加してもらいアイデアを出しあった。 都市機能を集中させるコンパクト化が言われているが、一方でこれまでつくり上げた市街地を無駄にすることにもなる。コンパクト化の理想を掲げながら、都市機能分散、スポンジ有効利用が現実的な対応であると論じられた。

 山下骼i上級研究員は、「給電方式の変遷と今後の直流給電の可能性」をテーマに講演を行った。 送配電事業は都市部での直流給電でスタートしたが、給電エリアの拡大に従って 交流給電が普及し現在に至っている。広いエリアを面的に給電する場合は、電圧変換と事故発生時の切離しの容易性で交流給電にメリットがある。一方、直流給電は特に長距離送電時の損失低減、給電信頼性が高いというメリットがある。直流給電は、太陽光発電・蓄電池との親和性が高いため、近年注目を浴びており、実証試験も行われている。直流のメリットを活かせる給電方式として、ビル間高信頼給電システムや低炭素給電システムを提示した。

 大島一夫センター長は、「都市とセンシング」をテーマに講演を行った。 現在、世界中で都市に人口が集中している。都市相互が良い点を学び合うことを目的に、都市を統一された指標で比較する国際標準も制定された。世界の大学、企業などが、都市の問題に取組むため、経済、環境、災害、健康、廃棄物、交通、都市計画などに関わるセンシングやその研究を行っている。センシングには衛星、スマートフォン、GPS、ICカード、レーダなどが利用されている。取得したデータを処理してリアルタイムに提供するサービスの進化、データを有機的に連携させるプラットフォームの構築により、都市の抱える諸課題への取り組みの加速が期待されると指摘した。