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[2003年度日本建築学会賞受賞論文]
建築設備の保全・管理に関する一連の研究(論文梗概)

取締役・FM技術部長兼環境技術部長 高草木 明

概要:
 建築設備の機能・性能を良好に保つことは、建物の長寿命化のために重要な課題である。このためには、建築設備の過不足のない計画的な保全が必要である。また、大規模改修や環境問題対応などについて建物管理者の適切な判断が求められる。受賞対象は、これらを実現するための理論構築と実態データ分析による一連の研究である。

高性能三次元振動試験システムを利用した振動試験技術

建築技術部長 奥田賢持
建築技術部課長 村上 博
建築技術部 高橋進士

概要:
 大都市の機能を一瞬に麻痺させ,復旧に多大の費用と時間が費やされた阪神大震災からはや8年が過ぎ,多くの人にとっては当時の強烈な記憶がだんだん薄れ始めてきている。一方では,東海地震の震源域が見直されたり,地震発生確率の高い活断層の情報が公表されるなど,近い将来,かなりの高い確率で巨大地震が 発生する可能性が話題となっている。災害は忘れた頃にやってくるということわざ通り,日本のどこかでいつでも起こりうる大地震に対して,人命・財産の確保 と地震後の社会活動の維持・早期復旧のため,建物構造体,二重床・天井等の建物付属物,情報通信装置・電源装置・空調装置等の建物内収容設備,配管・配線 等のライフラインの耐震設計と耐震対策を確実に行っておくことが重要である。
 構造物,機器等の耐震設計や耐震対策の検討は,構造計算やシミュレーション解析などのほか,さまざまな構造試験・材料試験に基づいて実施されている。なかでも振動台を利用した耐震実験は,構造物の実物や模型を振動台上にセットし,人工的に地震を発生させて,試験体の耐震強度や機能障害を検討するもので, 耐震性能の検討を行う上で極めて有効な手段である。
 本稿では,阪神大震災クラスの大地震を建物のフロアレベルで再現することができる高性能三次元振動試験システムを利用した振動試験技術について紹介する。

「FM施設管理システム」のFM業務支援ツールとしての活用

ITソリューション推進室課長 俣江重隆

概要:
 (株)NTTファシリティーズの商品であるFM業務支援ツール「FM施設管理システム」の開発・販売を手掛けて約3年が経過しようとしている。
 当初は,CAD図や書類等のドキュメントとデータベースを一元的に取り込み,管理することから始めたシステムであった。しかし,これだけでは,十分なFM業務の支援と効率化を図ることが難しく,ユーザーの十分な満足度が望めないので,構築したデータを活用する機能の強化に取り組んできた。
 本報告では,「FM施設管理システム」で構築したデータを活用するFM業務支援ソフトの内容,および業務ソフトと連動をとるために整備したツール類を紹介する。

インターネット時代の情報共有システムと全文検索システム
−情報共有システム「B~itsセキュリティ」の開発と全文検索バージョン「B~its Finder」について−

ITソリューション推進室課長 佐藤高臣
ITソリューション推進室課長代理 森谷 靖彦

概要:
 近年,インターネットやイントラネットを活用したソリューションとして「Webサービス」が注目されている。Webサービスは,さまざまなアプリケーション機能をネットワーク上に「サービス」として公開し,これらの連携利用を図ることで柔軟なシステムを構築するインターネット技術である。
 BTI総合ファイリングシステム「たまて箱」は,時代の要請にあわせ,初期のスタンドアロン版からクライアントサーバへの対応,そしてWeb版 (B~its)のリリースへと進化を続けてきたが,今回,Webサービスへの展開を視野に入れた「B~itsセキュリティ」をリリースした。
 今回のリリースでは,将来のWebサービスを実現するためのバックボーンとなる「.NET(ドットネット)テクノロジー」をその実行環境に採用したほか,急速に普及しているUNIX(Linux)環境への対応も行っている。
 本稿では,「B~itsセキュリティ」の開発とその実行環境に採用した「.NETテクノロジー」について紹介し,また同時にリリースした全文検索バージョン「B~itsFinder」についてその概要を述べる。

海外における電力自由化状況とニュービジネス

電力技術部長 杉浦 利之

概要:
 世界各国で電力自由化が進められているが,その進め方や電力市場制度は区々である。北欧やドイツでは自由化により市場が十分機能し,電力価格も低下している一方,英国や米国カリフォルニア州のように当初の目論見通り進展せず,市場制度の見直しや自由化を凍結した事例もある。自由化の成功は単なる制度的な 問題よりもむしろ発電事業者の数,規模,電源の種類,需給バランス,電力価格の水準といった市場環境にあるとも言われている。本稿では各国の電力自由化形 態,電力市場構成および自由化の効果等を紹介するとともに,電力自由化に伴い新たに生れたビジネスについて概説する。

携帯型燃料電池の技術動向

バッテリー技術部長 市村 雅弘

概要:
 携帯用電子機器の代表的存在である携帯電話,ノートパソコンは今や一人に一台の時代になりつつある。これらの機器用の電源としては,軽くて電圧が高く(平均3.6〜3.7V),高エネルギー密度を有するリチウムイオン二次電池あるいはリチウムポリマー電池が広く利用されている。現在,使用されているリ チウムイオン電池は正極にコバルト酸リチウム(LiCoO2),負極に炭素(C)を使用した電池である。1990年にソニーが世界で初めて商品化して以 来,安全性を損なわずに高エネルギー密度化する改良が進み,約15年間で当初の約2倍のエネルギー密度をもつに至っている。しかし,ここに来てコバルト酸 リチウムを正極材料とするリチウムイオン電池の質量エネルギー密度向上は限界に近く,また近い将来,体積エネルギー密度も限界に来るといわれており,新し い負極材料,正極材料の探索が鋭意進められつつある。
 一方,リチウムイオン電池に代わるエネルギー源として,燃料を補給する限り長時間電気を供給し続けることができる燃料電池が盛んに検討されるようになった。1801年デービー卿(英国)が燃料電池の原理を発見し,1839年ウィリアム・グローブ卿(英国)が世界初の燃料電池実験を行って以来,約200年 の長い開発の歴史を持っている。高い発電効率が期待されることから地球環境にやさしい発電装置として研究開発が進められており,大は1MWクラスの系統発 電所用から,小は1W〜1kWクラスの家庭用まで,種々の燃料電池が研究開発され,一部実用化されるに至っている。
 本報では,比較的構造が簡単なため,最近携帯機器用電源として盛んに検討され始めている固体高分子形燃料電池(PEFC),およびメタノールを直接燃料として使用する直接メタノール形燃料電池(DMFC)を中心に最近の技術動向について述べる。

雷害対策技術の動向と接地システムの保全技術

電力技術部担当部長 岸本 保夫

概要:
 半導体技術や回路技術などの進歩により電子回路の高密度化・高機能化が進んだが,一方では,このため電気/電子機器のイミュニティが低下して,さまざまな電磁環境問題とともに雷害が顕在化している。ドイツではサージによる電子機器の年間被害額が1980年代後半からの10年で約4倍に増加しており,日本 でも同様の状況が確認されている。
 さらに,アクセス系のブロードバンド化などにより高度情報通信ネットワーク社会の形成が進み,中継ネットワークはもとよりユーザー設備の雷害対策が一層重要になってきている。
 一方,我が国の雷防護規格(JIS C 4201)は建築物を対象としているが,IECや各国においては,建物や建物内部の設備や人の安全を含む雷防護規格が制定されており,国際規格との調和と 雷防護技術の進歩を考慮した関連規格の制定を促進するため,検討すべき課題の調査・研究が行われている。
 本報告では,情報通信システムにかかわる雷害対策の技術動向とともに,譁NTTファシリティーズにおいて雷害対策検討用に構築したシステムの適用例や接地システムの保守・改修用に開発した新方式の接地抵抗計とケーブル切断支援装置について述べる。