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EHS&S研究センター

セミナー

EHS&S研究センター セミナー2017

2017年11月7日(火) 13:30〜16:30(開場13:00) サンケイプラザ(東京・大手町)
テーマ「サステナブルな都市を目指して」

基調講演 「建築設備運用におけるAI利用の可能性」 大岡 龍三 氏
(東京大学生産技術研究所 人間・社会系部門 教授 工学博士)

「都市のサステナビリティ指標」 塚田 敏彦 (NTTファシリティーズ総合研究所 EHS&S研究センター上級技師)
「製品開発に必要なリスクアセスメント」 三野 正人 (NTTファシリティーズ総合研究所 エネルギー技術部長)

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 エネルギー問題、地球温暖化、都市への人口集中、災害の多発などファシリティを取り巻くリスクが複雑化する一方、これらの問題への解決の手段としてAIや IoTなどの技術に期待が寄せられている。このような中、EHS&S研究センターでは「サステナブルな都市を目指して」をテーマに、セミナー2017を開催した。

 大岡龍三教授は、「建築設備運用におけるAI利用の可能性」と題し基調講演を行った。
 AIの建築分野の論文は増えているが、実際に応用された例は少ない。最適化手法には大きく分けて線形計画法などの数理計画法とメタヒューリスティクスがある。メタヒューリスティクスは、メタ(高次の)とヒューリスティクス(発見的問題解決法)を組み合わせた造語で、代表的な手法に遺伝的アルゴリズム(GA)や粒子群最適化(PSO)などがある。特徴は、モデルフリーで確率的近似手法である。ただし解の近似精度などに注意する必要がある。
 最適化手法の選択に当たっては、全探索、線形計画法、動的計画法、メタヒューリスティクスの順に検討することになる。動的計画法は全探索に対して大幅に計算量を減らすことができる。しかし関連する機器が多いと計算量が増え、途中で計算を打ち切ることができない。メタヒューリスティクスを利用することにより、計算量をユーザーが指定でき、計算を途中で打ち切ってもそれまでの最適解を表示できる。メタヒューリスティクスを利用したビルの熱源システムや、街区レベルでの電力供給と建物間の熱融通をはかるシステムの最適化によりエネルギー消費量が低減できる。ここでは将来導入されると想定される電気料金のダイナミックプライシングも考慮している。
 最後に、・建築設備におけるAI利用の可能性として、最適化手法の一つであるメタヒューリティクス、ならびに機械学習の一つであるANN(ニューラルネットワーク)は実用上十分な精度を有する。・近年の計算機能力の進展は、計算コストの点においてもAIの実現可能性に大きく寄与している。・AIの実装にあたり、どのようなデータをどの程度の精度で取得するか、何をどこまで制御するかについての、標準仕様とプロトコルの整備を行う必要があると論じられた。

 塚田敏彦上級技師からは、「都市のサステナビリティ指標」をテーマに、都市に人口が集中する中、各国で作成された多数の都市系評価指標が運用されており、ISOにおいても都市評価の草案が作成されていること、具体例としてポートランドでは多くの街区やビルが認証を受けていること、三野正人部長からは、トピック「製品開発に必要なリスクアセスメント(R-Map手法の紹介)」をテーマに、リコールや製品事故が起きないように、事前にその芽を摘み取るためのリスクアセスメントの重要性と、R-Mapを利用したリスクアセスメントの実施方法についての解説が行われた。

 セミナーは、会場が満席となる100名を超える方々のご参加をいただき盛況のうちに終了した。参加していただいた方々から「大変参考になった」「今後ともこのような情報発信を継続してほしい」など貴重なご意見を多数いただいた。