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津波外力によるRC造・S造建物への被害想定

技術企画部長 加納修平
技術企画部部長 中野時衛

概要:
 スマトラ島沖巨大地震による大津波を始め、国内で相次ぐ地震災害により、巨大津波に対する対策の重要性が一挙にクローズアップされたが、以前より、わが国では近い将来起こると考えられる東海・東南海・南海地震による巨大津波の被害について警告が出されてきた。建物の津波被害と対策の検討には、1).津波規模の予測と津波外力の検討、2).津波による被害の推定、3).被害を防ぐ対策、の手順による検討が必要である。津波規模の予測、津波外力については研究がある程度進んでいるが、地震、雪、風などに比べ、建築物の津波外力による被害性状についてはほとんど検討されておらず、当然適切な対策も立てられていたとは言い難い。
 本研究ではRC造建物およびS造建物を対象に、津波時の既存建物への対策や避難建物の選定、新築建物の設計に役立てることを目的として、津波外力による被害性状の検討を構造計算により行った。
 今回の検討対象のRC造建物は5.8m、S造建物は1.2m程度の浸水深の津波で建物は保有水平耐力に達するが、いずれの構造の場合も外壁および開口部を構成する二次部材がそれ以下の浸水深で破壊し、建物内への浸水は避けられないものの建物倒壊などの大被害を受けるおそれはほとんどないことがわかった。
 今後は、津波シミュレーションにより、建物に作用する津波の波力を直接計算できる方法の検討を進めて行きたい。

「Bitsたまて箱」シリーズバージョンアップ
〜個人情報保護法・e-文書法の施行を踏まえて〜

ITソリューション推進室課長 佐藤高臣
ITソリューション推進室課長代理 森谷靖彦

概要:
 2005年4月、IT関連の2つの法律「個人情報保護法」と「e-文書法」が施行された。
 前者は、高度情報通信社会の進展に伴い、個人情報の保護の必要性が一層高まってきたとして法制化されたものであり、後者は、紙で作成された書類をスキャナで電子化した場合にも、一定の技術的要件を満たせば原本と見なす事ができるという、共にインターネット時代が要求する画期的な法律である。
 当社の情報共有ファイリングシステム「Bitsたまて箱」シリーズも、これらの法律を鑑みて幾つかの機能を追加し、その利便性を向上させた。個人情報保護に係る電子データのトレースや、電子文書の保存などの業務プロセスに、「Bitsたまて箱」シリーズの更なる活用が期待される。

小形リチウムイオン電池の寿命特性

バッテリー技術部長 市村雅弘

概要:
 携帯電話に搭載されているコバルト系正極を用いた小形リチウムイオン電池について、その寿命特性を明らかにするため、主に50℃の高温環境下で系統的に充放電サイクル試験、保存試験を実施し、@放電深度(DOD)100%から25%の範囲内では、サイクル寿命は放電深度が深いほど短くなるが、その影響度は鉛蓄電池ほどではない。A温度が上昇するほどサイクル寿命は短くなり、その劣化反応の活性化エネルギーは約40kJ/molであり、トリクル寿命の場合と同様の値を示す、B充電状態(SOC)が高い電池ほど保存劣化が大きくなる電池と、保存劣化に対してSOC依存性が少なく電池があること、などを明らかにした。

生体認証技術を用いた入退室システムの最新動向

(前)環境技術部課長 (現)NTTファシリティーズ 事業開発部担当課長 小松正佳

概要:
 代表的な生体認証技術として、指紋認証、静脈認証、掌形認証、顔認証、虹彩認証、音声認証、サイン認証を取り上げ、これらに関る認証技術の特徴、市場動向、及び最近のトピックを紹介した。
 ユビキタス社会の到来が叫ばれ、流通する情報量が飛躍的に増大して行くことは想像に難くない。今後は、情報を安全に管理するための個人認証技術の重要性が益々増してくるはずである。中でも、生体認証技術に関して、ATMでの本人認証のために静脈認証技術が採用される等、話題を集めている。また、認証技術を適用するセキュリティ分野は、一般的に情報セキュリティと物理的セキュリティの2つに大別される。本稿では、生体認証技術を用いた入退室システムの最新動向を紹介する。

地中探査技術の現状

環境技術部課長 近藤友厚

概要:
 NTT建築総合研究所は、NTT敷地内における掘削工事の安全確保のため、地中埋設物探査の手法の確立と作業実施体制づくりをおこなってきた。敷地構内には重要な埋設物が多く、どれひとつとして見逃すことのない探査手法を目指しているが、地中探査技術の開発遅れにより、探査精度に問題を残している事実は否めない。本報告では、地中探査技術の現状として、基本技術であるレーダー探査、補足技術である電磁誘導探査を解説し、地中探査時に使用する探査機器を紹介する。
 探査技術をカバーする様々な手法、手順としては、浅いところを得意とする探査器、深いところを得意とする探査器など機器の特徴を活かした条件別探査手法を紹介する。さらに、今後の課題として、現行探査機器の探査限界、探査精度などによる探査困難な範囲、探査困難な土質状況などの事例を紹介する。

雷観測システムおよび雷保護規格の最新動向

電力技術部担当部長 岸本保夫

概要:
 雷雨を伴う激しい気象は、送電線の事故や集中豪雨による水害、降雹による農作物被害、落雷による生物被害や火災などをもたらすが、情報化社会の発展とともに建物内の脆弱な電気・電子機器の損傷や誤動作による被害も増加してきている。近年、アメダスや気象衛星、レーダーなどによる気象データや気象予報が公表され、数時間先の降水短時間予報や1時間先までの降水ナウキャスト情報が提供されている。しかしながら、雷雨のような局所的な気象の予測は難しく、メソスケールでのナウキャストやそのための雷観測技術の重要性が増している。
 一方、直撃雷からの保護については、従来は建築物などの保護を目的とした外部雷保護のみであり、建物内の生き物や設備(特に電磁妨害に敏感な情報システム)を防護する内部雷保護については引込配線を伝導する誘導雷に対してのみ考えられてきたが、国内規格の国際規格への整合化と情報技術装置の普及などを背景として、建物内部での設備・機器の直撃雷を含む雷対策の規格制定や規制の導入が進行している。ただし、国際規格には我が国特有の冬季雷の特性が反映されていないので規格や規制の導入に際して十分な検討が必要である。
 本稿では、メソ気象の解明研究や予測技術の進展に重要な雷観測技術に関して、まず、雷放電現象と雷観測の様々な手法について述べ、次に雷観測システムの現状と動向について概要を紹介している。また、雷保護に関する規格について国際規格とJIS化の状況を述べるとともに、問題点について述べた。

電力品質の定義と測定方法

電力技術部担当部長 村上直樹

概要:
 交流電力系統の電力品質に関する電力品質測定法の国際規格であるIEC 61000-4-30について品質の尺度となる各種パラメータとその定義、パラメータの測定方法について紹介した。併せて既に制定されている国内外の電力品質関連の規格との対比を行った。電力品質のパラメータとしては周波数、供給電圧、フリッカ、電圧ディップ、電圧スエル、停電、電圧不平衡、高調波、次数間高調波の9種類を取り上げた。まず、各パラメータの定義、発生要因、その影響範囲、国内の限度値を紹介し、次に、測定方法と得られたデータの評価方法について詳述した。
 電源品質パラメータについては未定義事象の規格化、国内規格との整合化等、課題が多く、体系化が望まれる。

循環型社会形成とバイオマスエネルギー

バッテリー技術部担当部長 平井敏郎

概要:
 バイオマスは、有用な化石代替エネルギーであり、また、森林の再生や廃棄物の減量などに対しても有効で、地球温暖化防止、持続可能社会実現の切り札として期待される。日本は高い木材生産潜在力を有しており、廃棄物の有効利用とともに木質バイオマスのエネルギー利用はその有効な一つである。ただし、木質バイオマスは賦存密度、発熱量が低く、その収集コスト低減とルート確立とが課題である。また、焼却灰の処理コスト低減も検討する必要がある。バイオマス発電の事業化には、補助金確保など資金的援助を確実にし、自治体、地域共同体など諸団体との協同により地域メリットを明確にして運営することが必要である。

NTT西日本の歴史的建造物調査

メディア企画制作部課長 安川哲親

概要:
 NTT西日本歴史的建造物の調査内容を紹介する。歴史的建造物の選定にあたり建設後50年経過した建物を(1920〜1960年)対象にした。歴史的建造物候補建物選定は、1)「史的建造物調査票」、2)「逓信省、郵政省、日本電電公社の建築」、3)「電電建築20年」、4)「山田守建築作品集」、「吉田鉄郎建築作品集」、5)「日本近代建築総覧」等にリストアップされている建物より150物件選定した。
 それを基にNTT西日本が所有している資産との照合を行い歴史的建造物として32物件選定した。歴史的建造物の特徴を把握するため、建築様式(表現派、ポスト震災復興型、後期表現派、国際建築様式、近代化構法)に分類した。また、保存方針を策定するため、地域における歴史的・文化的な意義、建物単体としての特徴、電気通信技術史等幅広い視点で考察を行い、その建物に相応しい価値を抽出した。
 今後の課題として、このように保存・活用されてきた歴史的建造物を如何に次の時代に継承していけるかが問われている。重要なことは、自分の身近に多くの歴史的建造物が存在することに気づくことであり、そのためには、歴史的建造物の情報・資料等を逐次整理し、建物の所有者、管理者、使用者に公開し意識の共有化を図ることが必要である。

韓国における建築物安全性能評価制度導入に関する海外事例調査およびコンサルティング

FM技術部 金 東範

概要:
 韓国の建築物事情は、高度経済成長期の経済発展と国民所得増加及び1980年代後半の住宅200万戸建設等によって建築ストックが急激に増加し、2000年12月末基準で全国約600万棟を保有している。その中で20年以上経過した建築物は全体建築物の60%程度占めていて、今後建築物の老朽化及び不十分な維持管理による各種事故発生等、社会問題に直面することが予想されている。そこで韓国施設安全技術公団の依頼を受け、日本における性能評価制度の現況調査及び適切な韓国建物安全性能評価制度導入のためのコンサルティング業務を実施した。