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事務所ビルにおける故障・不具合発生と保全体制に関する一連の研究

EHS&S研究センター研究アドバイザー 高草木 明

概要:
  筆者が2006年から始め,現在も継続している建物に発生する故障・不具合に関する研究の中から,大規模事務所ビルを対象とした研究について,得られた知見をいくつかピックアップする。
  建物が竣工し使用が始まると,その日からさまざまな故障・不具合が発生する。 故障はJISの信頼性用語に定義され,設備機器等が機能に支障をきたす事象を意味する。大規模な建物にはメンテナンス員が常駐する。 メンテナンス員は故障とはいえないような不具合にも出動し処置する。
  建築物は彫刻のように鑑賞するものではなくて使用するためのものなのである。 使用上の障害となる故障・不具合について建築界で関心が薄い。 このような故障・不具合を把握することは建築についての基本的な認識形成のための要件の一つであろう。 しかし,それは建築分野の知見として共有されていない。 このことは,実利的側面からも問題がある。
  建築物のメンテナンス員は,当然,重要な任務の一つとして日々,故障・不具合に対応しており,そのすべてが記録されている保全現場も少なくない。 しかし,それを自ら分析して公表したり,あるいはそれが研究者に提供されるようなことはほとんどない。 したがって,故障・不具合の発生実態に対応した保全業務品質水準と保全体制の設定,また点検頻度などの保全計画が,基礎資料の不足故に十分な合理性を確保できているといえない現状にある。
  ここに紹介する一連の研究は,このような問題意識によるものである。
  既発表の5編の論文に基づき,次の4つのテーマについて論じる。
・保全現場における繁忙状況の保全品質への影響
・保全記録データに基づく信頼性解析(電気設備および空調・衛生設備)
・大規模事務所ビルにおける故障・不具合の発生の特性と修復所要日数
・事務所ビルにおける修復期間の長い故障・不具合の特徴

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エネルギー・環境問題と自治体の取り組み事例

EHS&S研究センター長 情報システム技術本部長 大島一夫
EHS&S研究センター研究主任 環境技術部主任 海藤俊介

概要:
  近年,エネルギー・資源の効率利用についてこれまで以上に重要となっている。
東日本大震災後から上昇傾向にある光熱費や省エネ法,温室効果ガス等に関する各種規制に対して事業者や自治体は光熱費コスト削減,省エネ,温室効果ガス排出量削減などさまざまに対応する必要がある。
  本稿では,現在のエネルギー・環境問題を取り巻く状況,自治体の取り組みを紹介した。
  各種規制について省エネ法改正を取り上げた。 2013年に改正されており,建物の省エネ性能の向上,電気需要の平準化が求められるとともに,これまでエネルギー消費機器のみが対象であったトップランナー制度に建築材料である断熱材が追加されている。 またフロン排出抑制法改正,東京都の温室効果ガス排出総量規制についても紹介している。
  CO2排出低減に関しては,木材の利用および緑化への対応について紹介している。 木材の利用は「公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律」が2010年に施行されており,現状で木造率が低い公共建築にターゲットを絞り,国が率先して木材利用に取り組んでいる。 緑化対応は都市緑地法に基づき各市町村が条例で屋上・壁面緑化を定め,各種助成制度を設けている。
  自治体の省エネの取り組みついて紹介している。建設時,改修時,運用時の各段階での事例を取り上げている。 建設時においては,新築の公共建築について2020年までにZEBを目指すとしており,横浜市では公共建築物の新築に対して高い水準の環境配慮基準が策定されている。
  今後も法改正などによる枠組みの変更や省エネに対する自治体の取り組みについての動向に注視していく考えである。

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スマートコミュニティの動向

オペレーション技術部 大野 隆之
EHS&S研究センター上級研究員 オペレーション技術部長 大津 智

概要:
  スマートコミュニティとは,太陽光発電や風力発電といった再生可能エネルギーの導入による低炭素電力の供給,熱やガスの有効利用,次聖代交通網の構築,医療や教育,生活情報など あらゆるインフラに対し最先端のICT(情報通信技術)を活用することで,環境負荷を減らしつつ人々の生活を快適にする取り組みである。
  スマートコミュニティは低炭素化,電力需要のピークシフト,災害対策,排熱の効率利用等,さまざまな効果が期待されている。
  本稿では,東日本大震災以降の日本のエネルギー事情や国の省エネ関連施策を紹介している。 また,日本としてスマートコミュニティを進めるための各省庁の施策と,日本におけるスマートコミュニティの取り組み事例を紹介している。
  スマートコミュニティを普及させるためには,まずは,システムやデバイスの低コスト化や地域住民の意識啓発が重要である。 さらに,インセンティブ付与等の短期的なメリットを考えるだけでなく,スマートコミュニティを通して雇用を創出するスキームを作るなど,地域住民が中長期に渡るメリットを感じられるような仕組みづくりが重要である。

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建築・不動産分野における環境性能評価制度の動向〜CASBEE-不動産・BELS〜

建築FM技術部主任 坂巻 哲

概要:
  我国では,建築物の低炭素化に向けた取り組みを重点事項と位置づけ,「地球温暖化対策の推進に関する法律」や「エネルギーの使用の合理化に関する法律」の改正といった環境関連での法的規制を強化し,環境性能が高い建築物を供給することを推進する状況にある。
  これを受けて,建築主はもとより,テナント,ディベロッパーおよび投資家等のすべての関係者が理解しやすいように,建築および不動産の環境性能を「見える化」する動きが重要性を増し, 国内外では環境性能について,多方面の観点から総合的に評価する方法や省エネルギー性能に特化し評価する方法といったさまざまな認証制度が普及しつつある。 米国では,エネルギー効率,資源保護,水資源保護,景観維持といった分野で評価するLEEDがあり,英国では,総合的な認証制度としてBREEAMがある。 国内では,建築環境総合性能評価システムCASBEEが広く普及している。
  本稿では,既存の不動産を評価対象とし,近年CASBEEファミリーに加わったCASBEE-不動産について報告するとともに,新築および既存の建築物を対象とし,一次エネルギー消費量に特化して省エネルギー性能を評価するBELSについて解説する。

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フロン排出抑制法の概要

EHS&S研究センター上級研究員 環境技術部長 塚田敏彦

概要:
  2002年に施行された「フロン回収・破壊法」が改正となり,2015年4月から「フロン排出抑制法」が施行され,さらなる温暖化防止対策として,これまでのフロン回収・破壊のみならず,フロン製造から廃棄までのライフサイクル全体にわたる包括的な規制が始まった。 これにより,第一種特定製品(フロン類を冷媒として使用する業務用空調機器および業務用冷蔵・冷凍機器)の管理者等に各種の役割が課されるため,各組織においてその検討や対応が始まっている。 筆者は2012〜2013年度の2年間,環境省地球環境局地球温暖化対策課において,フロン法改正業務を進めるフロン対策推進室と隣り合う国民生活対策室で,温暖化対策国民運動業務を担当していた。
  本稿では,この機会にフロンの特徴からフロン排出抑制法の概要と管理者の事前準備,当社が受託実施しているNTTグループの業務用空調機器から回収したフロンの再資源化について紹介をする。

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次なる大震災に備え持続可能な減災社会の実現を目指す最新動向

EHS&S研究センター研究理事 赤木久眞

概要:
  4年前に発生した日本観測史上最大の巨大地震「東北地方太平洋沖地震」(2011年3月11日,M9.0)は,東日本太平洋側の広範囲にわたって強い揺れと大津波を引き起こし,死者・行方不明者約2万人,建物全壊約13万棟という大惨事をもたらした。 さらに物流網・サプライチェーンの寸断による生産停止に加え,原子力発電所の事故も発生し,不安定な電力・エネルギー事情など,「東日本大震災」と称される広域複合大災害となった。
  現代社会の弱点を狙い撃ちされ,想定を超える危機が全国的に現実となり,幅広い視点からリスク(損失発生の可能性)を総合的に考え,マネジメントすることの重要性が改めて認識される状況ともなった。 そこで当社では,大震災から1年後,単行本「リスクマネジメント99の視点」をとりまとめ,幅広く関係各位に配布させて頂いた。
  被災現地は2012年2月に復興庁が設置され,その後も懸命な復興作業が継続されているが,一方では次に予想される大震災として,南海トラフ巨大地震や首都直下地震の切迫性が話題になっている。 そこで,ここではリスクに強い持続可能な社会を実現するための最新動向の中から,次なる大震災に備えて減災社会の構築を目指す,主として単行本出版後3年間にわたる世の中の動きについて報告した。
  まず近未来に発生が危惧される大地震は,南海トラフ巨大地震(M9.0-1)と首都直下地震(M7.3)であることを示し,政府(中央防災会議)が公表した被害想定と減災方策について,その概要を紹介した。 次に,大震災からの防災・減災を推進する上でポイントとなる災害対策基本法等の法律,および建築物等の耐震化施策,超高層ビルの長周期地震動対策,天井の脱落防止対策,巨大津波対策について,最新動向を解説した。 さらに,持続可能な社会を目指す取り組みとして,事業継続計画(BCP),首都中枢機能の確保,サプライチェーンとバックアップの確保,避難者対策・帰宅困難者対策を取り上げ,それらの最近の動きについて言及した。 これらより,東日本大震災の教訓を風化させず,想定外を言い訳にしないで済むよう,脆弱性を克服し国土の強靭化を図って,しなやかで安心して暮らせる持続可能な明日の日本の姿につなげていくための視点を提示した。

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広帯域対応3次元振動試験システム「DUAL FORCE」と最新の振動試験事例

耐震構造技術部主任 武智 剛
耐震構造技術部担当部長 奥田賢持

概要:
  構造物・機器等の耐震設計や耐震対策の検討は,構造計算やシミュレーション解析などのほか,さまざまな構造試験・材料試験に基づいて実施されている。 なかでも振動台を利用した耐震実験は,構造物の実物や模型を振動台にセットし,人工的に地震を発生させて,試験体の耐震強度や機能障害を検討するもので,耐震性能の検討を行う上できわめて有効な手段である。 NTTファシリティーズでは,電電公社時代の1971 年より振動台を利用した振動試験を実施し,多くの成果を上げている。 また,2010 年には,マグニチュード8クラスの巨大地震時における超高層ビル内部の揺れを忠実にシミュレートすることができる第4世代の広帯域対応3 次元振動試験システム「DUAL FORCE」を導入した。 NTTファシリティーズ総合研究所は,NTTファシリティーズと連携して振動試験を実施するなかで,耐震試験技術のさらなる高度化を進めている。
  本稿では振動台と振動試験技術の系譜と最新の3 次元振動台「DUAL FORCE」の性能・特徴を紹介するとともに,この振動台を利用した振動試験の事例を紹介する。

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歴史的建造物の耐震改修〜株式会社中国銀行倉敷本町出張所〜

EHS&S研究センター上級研究員 構造コンサルティング部長 中野時衛
関西事務所課長代理 奥川英司

概要:
  倉敷美観地区の中心に位置し,倉敷市民と観光客に親しまれている中国銀行倉敷本町出張所(旧第一合同銀行倉敷支店)の耐震改修について述べる。 建物は,煉瓦造一部鉄筋コンクリート造2階建て,基礎構造は煉瓦造,屋根は木造銅板一文字葺き,建築面積449m2である。 建物の竣工は大正11(1922)年8月,設計者は陸軍省出身の薬師寺主計(かずえ),施工は藤木工務店である。 耐震診断の結果,主に煉瓦壁の面外方向の曲げ崩壊と煙突の曲げ破壊が予想されたので,補強を行った。 補強方針は平成10(1998)年12月に国の登録有形文化財に指定された既存建物の外観と内部仕上げを保持しながら,耐震性能を向上させるというものである。

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製品開発に有効なリスクアセスメント用R-Mapの活用

エネルギー技術部担当部長 村上直樹

概要:
  経済産業書発行の「リスクアセスメント・ハンドブック実践編」をもとに,R-Mapを用いて電気用品のリスクアセスメントを行う方法を紹介する。 R-Mapは,縦軸に「発生頻度」を6段階,横軸に「危害の程度」を5段階に分けてリスクレベルを表示したマトリックスで,右上に向かってリスクレベルが高くなる。 危険源を,危害シナリオ,FMEA,FTA,事故事例などから抽出し,それらの発生頻度,危害の程度を数値化してR-Mapに当てはめることにより,リスクレベルを容易に確認できる。 その結果,リスク低減効果をR-Map上で確認しながら,確実な対策を決定できる。

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電力用マイクロ磁気デバイスと超小型DC-DCコンバータの開発動向

エネルギー技術部長 三野正人

概要:
  昨今,携帯用電子機器,ウェアラブル機器の普及に伴い,超小形の電源装置(DC-DCコンバータ)の採用が装置の小形化に大きく貢献している。 本稿では,DC-DCコンバータの小形化に向けて取り組まれている電力用マイクロ磁気デバイスならびにこれらを用いた超小形DC-DCコンバータの開発動向を紹介する。
  はじめにDC-DCコンバータの概要について述べるとともに,LSIの微細化・低電圧化に伴い変化する電子機器内での電力供給形態のトレンドについて述べる。
  続いてマイクロ電源の開発事例について紹介したのち,最後にLSIの微細化・高速化に向けて研究が進められているLSIへの電源回路の搭載,すなわちオンチップ電源の開発動向についても紹介する。

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市販リチウムイオン電池の釘刺し試験法に関する考察(その6)

バッテリー技術部 磯部武文
EHS&S研究センター上級研究員 バッテリー技術部長 荒川正泰

概要:
  インターネットや携帯電話・スマートフォンの普及により世界的にICTが浸透している。 最近ではウェアラブル端末が注目され,ますます手軽にICTを利用することのできる環境が整ってきている。 このようなICT端末の電源として利用されているのがリチウムイオン電池である。 ノートパソコンなどの携帯電子機器に使用されているリチウムイオン電池のリコールや不具合が相次いで発生しているため,ウェアラブル端末用の電池についても高い安全性が求められている。
  リチウムイオン電池に起因する不具合や事故原因の一つとして内部短絡が挙げられる。 これまで我々は電池の内部短絡状態に注目して試験を行い報告してきた。 内部短絡を簡便に模擬することのできる釘刺し試験は釘を刺す速度により異なる結果(熱暴走の有無)が得られることがわかっている。 今回は釘を刺した時に流れる短絡電流の挙動を推定する方法を考案した。 短絡電流を電流密度に置き換えることで,短絡時の電流密度は釘を刺す速度が遅いほど大きいため熱暴走しやすいことがわかった。

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ナトリウムイオン電池の研究動向と課題

EHS&S研究センター研究員 バッテリー技術部主任 趙 潔

概要:
  リチウムイオン電池は過去の20年間にノートパソコン,携帯電話などのデバイスに広く使われているが,EV用等に対応する大型化とさらなる普及のためには資源と性能的な制限があり,代替技術が不可欠だと考えられる。 一方,ナトリウムは埋蔵量が豊富で,リチウムと同じ1価のアルカリ金属であり,相似な化学特性を持つため,リチウムイオン電池と類似のナトリウムイオン電池の開発に興味が持たれている。 しかし,標準電極電位はリチウムより0.3V低く重いため,リチウムイオン電池より高エネルギー密度を出しにくい欠点がある。 また,今まで研究されてきた正極材料をそのままナトリウムイオン電池に適用することは困難となるため,ナトリウムイオン電池に適した新規の正極材料の探索がなされている。本稿ではナトリウムイオン電池に関する研究動向と現状を紹介する。

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ビルメンテナンス業界の動向

EHS&S研究センター上級マーケットリサーチアナリスト 市場戦略サービス部担当部長 杉浦正爾
市場戦略サービス部主任 マーケット開発部主任 武田史人

概要:
  ビルメンテナンスは,清掃・設備管理・警備などの役務提供型の業務に修繕計画,省エネルギー,防災やライフサイクルコスト,建物の利活用,資産評価,賃貸の収益性向上のためのコンサルティングなどが含まれる。 ビルメンテナンスがビルマネジメントに向かう流れは不動産の証券化から始まっている。 証券化された建物はプロパティマネジメント会社を通じて厳しいコスト低減圧力がかかった。 その一方でビルメンテナンス業界もICTの活用で業務の効率化をすすめてきた。 労働集約型のビジネスであるビルメンテナンス業で技術革新の成果が最も顕著に現れているのが機械警備の領域である。 巨大なコールセンター,監視センターと駆付けシステムは,警備以外の安全サービスや設備の緊急修繕,設備運転監視などに範囲を広げている。
  一方目立った技術革新のないように見える清掃業界も床洗浄方式や掃除機の開発,清掃実施状況の見える化システムなど開発されている。 設備管理でもクラウドコンピューティングで管理・技術情報を共有化するなどのシステムが作られてきた。
  FMコンサルティングでは,不動産の証券化が進んだ2000年代は建物のデューデリジェンス,エンジアリングレポートを作成しファンドを組成し,ノン・リコースローンを紹介するなど不動産流動化を支援するビルメンテナンス会社もある。
  省エネルギーでは,設備投資を代行するエネルギーサービスプロバイダーが現れた。 オンサイトでエネルギーサービスを供給することで,まとまった期間,ビルメンテナンス業務の受託もねらう。
  FMコンサルティングでは,客先企業の管財担当者の業務をまるごと代行するようなアウトソーシングはまだまだ少ない。 アウトソーシングでは単純業務型(外注代行業務)が中心で,経営戦略に基づいた高度なFMの戦略,中長期実行計画,プロジェクト管理の事例は少ない。
  ビルメンテナンスは労働集約型ビジネスであるからこそ,均質な仕様から情報を活用したメリハリのある仕様に変えていくことが期待されている。

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社会インフラ用ロボット技術の実用化動向

取締役 建築FM技術本部長 酒井 修

概要:
  国土交通省では,2014年度に「次世代インフラ用ロボット技術・ロボットシステムの公募」を実施している。 公募に際し「個人・大学等の場合は,3年以内に実用化を目指し民間企業と共同開発している場合に限る」といった条件が付加されてり,実用化が近い案件のみが公募採用されたと推定される。 これらの技術の動向を把握することで,インフラ維持管理等のロボット技術の進むべき方向性をうかがうことができる。
  公募は「維持管理」と「災害対応」に分類されており,維持管理は「橋梁」「トンネル」「水中(ダム外壁,ダム堆積物,河川護岸,川床)」の3分野としている。 災害対応は「災害調査」と「災害応急復旧」の2分野である。
  維持管理では,従来の点検内容をロボットで行うというコンセプトとなっている。 橋梁やトンネルの「近接目視の代替または支援」および「打音検査の代替または支援」については,そのまま建築物の目視点検および打音検査に適用できる可能性が高い。 特にこの点で,NTTファシリティーズグループの業務にも直接の影響がある可能性が高く,動向を注視している。
  近接目視の代替手段として,マルチコプターを提案した案件が相当数あり,期待されるところである。 現状では飛行時間や風等の周辺環境の影響,安全性の検証などの課題がある。その他の飛行体を提案している案件もあり,今後の展開に注目したい。 今回の現場検証報告は中間報告であり,2015年度も現場検証が実施される見込みである。

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BIMを用いた建築プロジェクトプロセス

ユーザシステム開発部課長 森谷靖彦
ユーザシステム開発部 江藤久美子

概要:
  設計事務所やゼネコン各社を中心にBIM(Building Information Modeling)の普及が進んでいる。 これまでBIMは,主に建築生産工程での利用促進が謳われ,各種シミュレーションの実行やフロントローディングの考え方と相まって,建築設計の質の向上や工期短縮のメリットが強調されてきた。 しかし,近年ではBIMを建物の運営・維持管理段階で利用する取り組みが開始されており,BIMによって建築プロジェクトのプロセスそのものを変革する動きが加速している。
  本稿では,BIM普及の流れに沿ってその課題を抽出し,BIMを利用した新しい工事発注方式やIPD(Integrated Project Delivery)と呼ばれる新たなビジネスモデルを紹介し,BIMによる建築プロジェクトのプロセス変革とそのプロセスマップについて紹介した。 BIMは建築業界に革命をもたらす技術といわれているが,これまでの設計・施工段階でのBIM利用はほんの入り口にすぎない。 建物のライフサイクルの大部分を占める運営・維持管理段階で有効に活用されてこそ,BIMの真価が発揮されるのである。

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構造設計を中心としたBIM利用の現状と課題

構造設計システム部 柿ア 大
EHS&S研究センター上級研究員 建築構造技術本部長 齊藤賢二

概要:
  日本国内においてBIMの普及が高まりつつある中,各社異なる方法でBIMの活用が進んでいる。 複雑な形状,規模が大きい建物だけにBIMを適用するのではなく,小規模で整形な建物であってもBIMを利用するメリットを見出すことが課題である。 また,構造分野だけで考えた場合においては,構造図面を描くだけでなくさらなる活用が求められるが,どういった利用法があるのかは各社が模索中である。 施工会社にとっては十分なメリットが得られるようになりつつある中で,設計事務所においては意匠・構造・設備をBIMで統一し,すべての情報をBIMとして扱えることが理想形であるが,実用上はこれらすべてをBIMソフトウェアの中で完結することは現状では困難である。
  そこで必要となるのが,それぞれの分野で使用されているソフトウェア同士の互換性である。 NTTファシリティーズ総合研究所では建築構造計算プログラムを開発しており,構造分野以外とも連携していくこともBIMの普及につながる要因の一つであると考えている。 ソフトウェア同士の互換性には直接的にデータを変換する方法が最も正確で単純な方法であるが,複数のソフトウェアとつなげるなどといった汎用性が少なくなる。 こういった問題を解決する共通フォーマットの「IFC」や「ST-Bridge」のさらなる発展にも期待したい。
  コンピュータの進化に伴い,高性能な情報処理が行えるようになったことで,設計者が多くの時間と労力を費やしてきた成果物作成の稼働時間を削減し,設計する上で最も重要なケーススタディやディテール検討などに時間を費やすことができるようにすることがBIMの最大のメリットであり,目標であると考える。

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