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病院施設の保全記録における故障・不具合データの分析に関わる一連の研究

EHS&S研究センター研究アドバイザー 高草木 明

概要:
  筆者らが事務所ビルに引き続いて取り組んだ病院施設に発生する故障・不具合に関する調査研究を総括的に紹介する。
  調査対象病院は,大規模なA病院から中規模のB,C,D病院,およびE診療所である。これら病院施設の故障・不具合総件数はおよそ5万件にのぼる。さらに,大学病院2件(F,G)のデータ分析結果も加えた。
  まず,各病院の保全員勤務体制を示した。次に,病院建物全体での故障・不具合発生原単位,A病院の病院棟使用開始以来の故障・不具合発生件数(月間)が減っていく状況を示した。
  続いて各設備ごとに故障不具合発生件数原単位と発生個所別件数構成を示した。
  ナースコールなどの設備は,病院ならではのもので,建築設備と同様,ビルメンテナンス員が故障・不具合対応にあたっている。対象は多岐にわたり,設備とはいえないものも多い。 ビルメンテナンス員が対応するものを「建築系医療用アイテム」と称することにした。これの故障・不具合発生件数の原単位は,大規模なA病院が顕著に大きい。
  病院の部屋は細分化され用途も多様であり,その空調設備は構成が複雑で,病室では休日や夜間も使用されることから故障・不具合が多い。
  衛生設備では,病院はオフィスビルなどに比べ便所が多く,汚物流しなど特殊な衛生器具もあり,床面積あたりの故障・不具合の発生件数が著しく多い。
  電気設備の故障・不具合内容が国土交通省監修の建築保全業務共通仕様書の点検項目のレベルで詳細に記録されていたC病院について,共通仕様書の点検項目(共通仕様書の目次に基づく)ごとに発生件数をとりまとめた。
  建築要素の故障・不具合発生箇所別件数構成をみると,扉の故障・不具合が特に多い。各病院について,扉に発生した故障・不具合の詳細内訳件数を示した。
  修復期間に関しては,修復期間別故障不具合発生件数割合を示した。発生当日に修復が完了するものは,74〜99%を占めている。
  建築設備の修復日数とアウトソーシングの関係を示した。当日修復が終了するものは,修復をメーカや工事会社に頼ることがごく少ない。修復期間が長いものは外注している場合が多い。
  F大学病院とG大学病院の保全記録により故障・不具合の発生件数と修復時間について分析した。発生件数原単位は,両病院とも大学施設等に比べて病棟において圧倒的に大きいが,これはA病院の病院棟の場合と大差ない。 F大学病院,G大学病院において発生当日に修復が完了する故障・不具合の平均修復時間は,大学施設に比べ病院施設において平均修復時間が短い。この差は統計的に有意である。 病院施設は,大学施設より優先度が高いため,修復が短時間で完了していると考えられる。

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公共施設等総合管理計画の策定動向

取締役 建築FM技術本部長 酒井 修
建築FM技術部長 原 徳孝
建築FM技術部主任 坂巻 哲

概要:
  公共施設等総合管理計画(以下,管理計画)は,2014年4月22日に「公共施設等の総合的かつ計画的な管理の推進について」という総務大臣発の各地方公共団体首長あて文書によって,全国的に作成が始まった。 この文書発出以前より同様の取り組みを進めていた地方公共団体も多いが,この施策には3年間の期限付きで補助金が交付されるため,全国的に取り組みが促進された。
  本稿では,管理計画の策定状況,事例・課題および国の支援策を概説した。
  管理計画の策定状況は,2016年度中には市区町村の一部を除き,ほとんどの地方公共団体で管理計画を策定予定である。 管理計画は,少なくとも10年以上の長期計画策定を推奨されていることから,人口減少等で税収減少や利用者減少が予想される地方公共団体は厳しい計画設定が必要となる。
  管理計画策定の指針においては,計画期間における公共施設等の数・延床面積等に関する目標やトータルコストの縮減・平準化に関する目標などについてできる限り数値目標を定めるよう周知されているが, 努力目標となっているため,数値目標が記載されていない地方公共団体もあった。 また,同指針には議会や地域住民との情報共有を図りつつ,公共施設の点検・診断等の実施を通じて不断の見直しを図ることと定めているが,地域住民へのサービスの基盤となる公共施設を縮減するには, 地域住民をはじめとする関係者の理解が必須であるため,地域住民も関心を持ち続けていくことが不可欠である。
  管理計画策定に向けた国の支援策では,市町村が的確な維持管理を実施していく上で,人員および技術面での課題があることから,インフラ維持管理支援策の一つとして, 市町村へ維持管理に精通した技術者派遣の仕組みの構築を掲げられ,民間技術者を地方公共団体に配置し,点検,診断,補修,修繕,計画策定といったメンテナンス事務の補助や助言をする技術者派遣の試行を開始した。
  今後,管理計画が出そろう2016年度以降には,各地方公共団体はその管理計画の実行,また定期的に計画変更等の施策が進められると想定される。

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小型無人機を活用したインフラ点検の現状と課題

EHS&S研究センター上級研究員 オペレーション技術部長 大津 智

概要:
  無人航空機のうち,回転翼が複数搭載されているマルチコプターは垂直離着陸が可能で,かつホバリングや低速でも移動ができ,かつドローンなどの木型無人機の場合機動性に優れている。 そのため,物流,災害対応,警備,インフラ維持管理,測量,農業などの分野で利用に向けた取り組みがなされている。インフラ分野では,橋梁の維持管理,災害時の状況調査にドローンの活用に向けた技術検証が行われている。 現在,目視内での運用に制限されているドローンを,有人地帯でかつ目視外での運用に向けや技術開発が進められている。

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食品業界のファシリティマネジメント

EHS&S研究センター上級マーケットリサーチアナリスト 市場戦略サービス部担当部長 杉浦 正爾

概要:
  食品産業は,自動車産業などが生産規模を低下させる中で,徐々に成長し,我国製造業の中で大きな位置を占めるようになった。 加工食品を中心に毎年生産規模を拡大させてきているが,輸入原材料の高騰,国内の市場の低迷,海外市場への展開の遅れなど課題も多い。 これまで業界再編を経ていくつもの大規模企業が誕生してきている一方で,地方の老舗企業が健闘しているなど多様性がある。
  少子高齢化や国内経済の低迷から,食品需要そのものは伸びていない。それゆえ業界全体として物流コストの削減,食の安全,国際化などの課題に取り組んでいる。 ファシリティの課題としては,生産性向上や食の安全確保のため老朽化した工場を建替えたり,業界再編に伴うオフィス統合・物流施設の統合が活発である。 環境面では国の後押しもあって物流の共同化,フロンを使用しない冷凍冷蔵設備への転換が活発化している。 また,食の安全は極めて重要なテーマとして捉えられ,監視カメラをデータセンターに蓄積し随時提供するようなサービスが現れている。食品工業は熱と電気を同時に使う場面が多く,コージェネレーションシステムの活用も多い。 ガスと電気のベストミックスや災害時のエネルギーの確保という点からも,食品工場のファシリティマネジメントの課題は幅広い。

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ワークスタイルおよびワークプレイスに関する動向

EHS&S研究センター研究主任 環境技術部主任 海藤 俊介

概要:
  将来的な日本の生産年齢人口(15〜65歳)は,減少が予想されている。日本における人口推移予測において2050年には総人口が1億人を割り,生産年齢人口割合が50%程度まで低下するという予測がされている。 生産年齢人口の減少,加えて介護や育児のある社員にとって限られた勤務時間の中でいかに効率的に働くかが増々求められるようになると予想される。
  多様な働き方としてフレックスタイム制,朝型勤務,テレワークなど時間や場所に捉われない働き方を紹介している。また,オフィスには知的生産のスピードと質が向上する環境が求められていることから,知的生産性について述べた。
  さらに今後ZEB(Net Zero Energy Building)が普及していくことから,快適性だけでなく省エネ性が求められる。本稿では,快適性と省エネ性の観点から近年注目を集めている技術として,放射空調とIoTの活用について触れた。
  ワークスタイル,ワークプレイスの変化に伴うオフィス環境と,それを支える技術の変化について今後もその動向に注目していく考えである。

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次世代の環境建築−Regenerative Architecture−

EHS&S研究センター上級技師 環境技術部長 塚田 敏彦

概要:
  本稿はGreen,Sustainableに続き,これから認知・普及が進む次世代の環境用語と思われる,Regenerativeに関する紹介論文である。 本稿の章立て構成は,一般的な環境建築の概念,日本における環境建築設計指針,LEEDやCASBEE等デザインツールの紹介から始まり,環境の定義,欧米を中心とした環境思想の潮流, 世界と日本を並列にした環境と建築に関する出来事の年表,Green,Sustainable,Regenerativeの特徴紹介と進むので,初めての方にも理解しやすいRegenerativeに関する簡潔で系統的な説明となっている。
  LEEDやCASBEE等デザインツールの分類についてもGreen,Sustainable,Regenerativeの分類に整理した上で,日本で認知度が低く先進的なツールをそれぞれの分類から紹介している。 Greenの分類からは環境性能の最高レベルの建物を認証するLiving Building Challengeを紹介し,Sustainableの分類からは途上国の特徴が表れているBEST(Built Environment Sustainability Tool)を紹介し, Regenerativeの分類からはREGEN,LENSES,Perkins + Willを紹介している。
  本稿では各種デザインツールで採用されている評価項目を,国内の設計指針からはじまり,最新のPerkins + Willまで網羅していることが大きな特徴になっている。 これにより,Greenでは個別建物の還元的環境性能項目が,Regenerativeでは自然,社会,経済など広範で総合的な項目が中心となっていて,GreenとRegenerativeの双方を活用することにより, 建物の果たす役割をより高めることが求められていることが理解できる。
  最後に,Regenerativeを標榜する先端的建築事例を2つ紹介している。カナダのUBC’s Center for Interactive Research on Sustainability (CIRS)と米国のBullitt Centerである。
  まとめにおいて,Net-PositiveをCSR戦略とする企業が現れていることを紹介し,Regenerativeが次世代に向けたキーワードになると思われると結んでいる。

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再生可能エネルギーの利用拡大に向けたエネルギー蓄積技術の動向

常務取締役 EHS&S研究センター上級研究員 エネルギー技術本部長 山下 骼i

概要:
  東日本大震災における原子力発電所事故を契機として,再生可能エネルギーの導入機運が高まっている。 しかし,太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギーは,天候などによってその発電量が大きく変動するため,導入量の拡大による電力系統への影響が懸念されるようになってきた。 これに対して発電所に併設して系統への供給量を平準化する,あるいは系統に接続して系統を安定化すためのエネルギー蓄積技術のニーズが拡大してきた。
  これらを背景に,揚水・圧縮空気・フライホイール・熱エネルギー蓄積・水素エネルギーなどの各種エネルギー蓄積技術の開発が進められている。 また,ナトリウム硫黄電池・レドックスフロー電池・リチウムイオン電池など各種蓄電池の適用も進められている。 蓄電池については,電力会社による系統連系の条件として発電所へ設置,系統安定化のために電力会社・配電会社などへの設置,アンシラリーサービス向けの設置などで適用が拡がっている。 また,住宅や公共・産業用としてのリチウムイオン蓄電池システムの開発事例も増加しており,従来の停電バックアップ用途だけに留まらず,消費電力のピークカットやピークシフト, 太陽光発電と組み合わせた自立電源などの新たな使い方も提案されている。
  今後,特にメガソーラー併設や系統安定化といった大規模蓄電池システムの導入が加速することにより,蓄電池のコスト低減の流れができれば, 再生可能エネルギーが蓄電池と組み合わせた通常の電力として広く普及・利用できるようになることが期待される。

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市販リチウムイオン電池の釘刺し試験法に関する考察(その7)

バッテリー技術部 磯部 武文
EHS&S研究センター上級研究員 バッテリー技術部長 荒川 正泰

概要:
  リチウムイオン電池は電気自動車や携帯電子機器に使用されており,事故や不具合を防ぐため各種の安全性試験が実施されている。 しかし,最近でも市場で事故や不具合が相次いで報告されている状態である。事故原因の一つとして内部短絡が挙げられ,これまで我々は内部短絡に関する試験を実施し,新たに得られた知見を報告してきた。 今回は充電時および試験時の電池温度に注目し,釘刺し試験における電池の温度依存性を確認した。

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太陽光発電システムにおける系統連系電力変換装置(GCPC)からのエミッション国際標準化動向

EHS&S研究センター上級研究員 エネルギー技術部担当部長 山根 宏

概要:
  省エネルギーやエネルギー資源の安定供給の観点から,再生可能エネルギーへの期待が高まる状況下で,太陽光発電システムの大量導入が進められている。 この大量導入は住宅用太陽光発電システムの導入に限らず,FIT制度の導入により,数MWクラスの太陽光発電所としての導入が急拡大してきている。
  住宅用太陽光発電システムや大規模太陽光発電システムの他の電気・電子機器へのEMC的影響の可能性から,国際標準化機関で太陽光発電システムの系統連系電力変換装置からの放射,伝導妨害波許容値が示された。 系統連系電力変換装置(GCPC:Grid Connected Power Conditioners)から伝導,放射妨害波許容値が示された。 具体的には,@20kVA≧GCPC容量,A20kVA<GCPC容量の伝導妨害波測定方法と許容値に関して,20kVA以下の場合,DC許容値は,他の住宅用家電製品に影響を与えないようにするため,比較的厳しい値となっている。 また,GCPC容量>20kVAでは,電圧/電流許容値を設定しており,測定値は電圧/電流の両方とも満足していなければならない。 DCポートの許容値はAC側のそれと比較して,周波数の比較的低い150kHz周辺は高くなっており,10MHz以上で逆に許容値が低くなっている。
  また,GCPCに接続される他装置へのEMC規格の適用の検討が開始されていることを記述している。

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激化する気象災害に備え持続可能な太陽光発電事業の実現に向けて

EHS&S研究センター技師 耐震構造技術部課長代理 早川 輝

概要:
  近年,再生可能エネルギーとして太陽光発電が注目され,固定価格買取制度(FIT)開始(2012年7月)以降,住宅の屋根に設置される小規模のものから地上に設置されるメガソーラーのような大規模のものまで,その需要は急激に増加した。 エネルギー白書2015によれば,2014年度には,939.3万kWの太陽光発電システムが運転を開始し,FIT開始後の累積で1,810.8万kWとなった。これは,FIT開始前の約3.2倍に相当する。
  太陽光発電システムは,太陽電池モジュール(以下,モジュール),支持物(金物,架台,基礎・杭),パワーコンディショナー(PCS),接続箱・ケーブル等により構成され, 太陽光が直接当たる見晴らしの良い地上や建物の屋上・屋根・壁など過酷な屋外環境下に設置される。 そのため,気象災害として,モジュールの脱落,架台の倒壊,接合部の破断,基礎の損壊,杭の引抜きなどの構造的被害とともに,PCSや接続箱の水没・損壊による停電といった電気的被害が発生している。 さらに,モジュールの飛散による近隣家屋の損壊といった公衆安全に影響を与える重大事故も発生している。
  一方,気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が公表した第5次評価報告書によれば,将来,気候変動が熱帯低気圧に及ぼす影響は,地域によって異なる可能性が高いものの, 世界全体での熱帯低気圧の発生頻度は減少するか,または本質的には変わらないままである可能性が高く,それと同時に,世界平均した熱帯低気圧の最大風速および降水量は増加する可能性が高いという。
  これまでNTTファシリティーズグループは,60カ所以上,総容量140MW超の地上設置型の太陽光発電所の建設に携わってきた。 また,現在も太陽光発電システムの耐久性や安全性を確保するための手法の検討を続けている。
  このような背景の下,本稿ではここ数年に発生した地上設置型の太陽光発電システムの気象災害に係る公開情報を調査するとともに,経済産業省等の取り組みや法制度を整理し, 激しさを増す気象災害に備え持続可能な太陽光発電事業の実現に向けて,今後の検討課題について考察する。

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サプライチェーンとリスク

EHS&S研究センター長 情報システム技術本部長 大島 一夫

概要:
  企業活動を止めないための事業継続計画(BCP)の策定や温室効果ガス排出量(GHG)の削減にあたり,サプライチェーンを含めることが重要になっている。
  経済産業省の調査によれば,海外の現地法人数は約2万4千社で,このうちASEAN4(マレーシア,タイ,インドネシア,フィリピン)は17%であるが,2006年度から2013年度にかけて約46%増加している。 このように日本企業の東南アジアへの進出が進む中,ASEAN4にシンガポール,ベトナム,日本を加えた7カ国で1900〜2015年に発生した自然災害を調べた。 その結果自然災害が一番多いのはフィリピンで593件,次いでインドネシア464件,日本327件の順となる。 各国で一番多い自然災害は,フィリピン,日本,ベトナムでは暴風雨でそれぞれ63%,44%,45%,同様にインドネシア,タイでは洪水でそれぞれ39%,62%を占める。 IPCC第5次報告書では,今後アジアでは,極端な降水,破壊的な低気圧,海面水位上昇などの増加が予測されている。このようなことから,災害の特徴を踏まえたサプライチェーンのBCP対策を行う必要がある。
  企業のサプライチェーンでのGHG排出量の把握・管理・情報開示を求める動きが活発になっている。これらにはGHGプロトコル,ISO14064 ,CDPなどがある。 各企業が公開しているCSR報告書をもとにサプライチェーンでのGHG排出割合を求めた。 この結果,自社以外のサプライチェーンにおけるGHG排出量の占める割合が83〜98%を占める。製品やサプライチェーンの施設での省エネルギー・省資源をはかることが重要である。

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オープンCAEに関する技術調査

EHS&S研究センター上級研究員 建築構造技術本部長 齊藤 賢二

概要:
  「CAE」(Computer Aided Engineering)とは,「コンピュータ技術を活用して,製品の設計や製造,工程設計の事前検討を行うこと,またはそれを行うためのツール」のことである。 CAEの中でも「オープンCAE」は,ソースがオープンなだけでなく,活用ノウハウもオープンになっているCAEであり,最近になって登場したものである。
  本稿では,最近注目を集めてきている「オープンCAE」の中で特に構造解析関連のオープンCAEについて概括している。 また,建築構造分野に関するオープンCAEの中でも広く世界中で構造物の解析に利用されているOpenSeesについて米国における調査を踏まえ解析事例も含めて解説している。 最後に,オープンCAEの建築構造設計実務での活用の可能性について述べている。
  以下に,本報告のまとめである。
  OpenSeesは,基本部分にオブジェクト指向言語C++による実装がなされており,ユーザは独自の解析計算部分をプログラミングして本体にプラグインできることが最大の特徴である。 また,入力データをTcl言語で記述することで,コンパイルを必要とせず,入力データファイル内でループや条件分岐などの高度な処理が可能である,この点自由度の高いものとなっている。
  一方OpenSeesは,研究者等による修正や応用をも考慮した広範囲な利用を目的としていることから,使い勝手に問題がある点も存在する。 たとえば,Tcl言語はそれで程習得困難なものではないが,言語に関する情報が少なく取り掛かりにくい面がある。 また,OpenSeesは,ユーザ作成のソースコードならびに入力データが記述されているTcl言語とのインターフェース部分もユーザ側で修正する必要がある。この点は,入門者には相当ハードルが高いものである。 ユーザは基本部分を構成するC++言語とTcl言語の両方に精通する必要がある。
  一般にオープンCAEは,研究者向けではあるが,実務にも十分活用できる可能性がある。 通常の構造解析については,市販のソフトと比較して特に使い勝手の面で劣るが,解析例で示したような特殊な解析では実務で活用できる可能性が高い。 一般の設計者が,オープンCAEを今以上に活用できるようにするためには,一貫構造計算ソフトをはじめとする一般に普及している市販の構造解析ソフトとの一層のデータ連携充実が望まれる。

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コストマネジメントにおけるBIMの活用

ユーザシステム開発部 江藤 久美子

概要:
  建物のライフサイクルコスト(LCC)の最適化を図る手段として,コストマネジメントの観点からBIM活用の可能性について考察した。
  発注者主導でBIMの普及が進んだ諸外国とは事情が異なり,日本では建築生産主導のBIM活用が主となっている。 従来の建築プロジェクトでは,建物の建設や運営維持に係るコストを左右する重要な情報は,実施設計から施工段階で決定することが多かった。 今後BIMの活用によって設計のフロントローディングが進むと,設計の上流から実態に近い概算コストを算出することができるようになり,コスト有効性を早期に検討することが可能になる。
  建物の品質とコストのバランスをとりながら建物の価値を最大限に引き出すためには,従来の設計手法の延長線上でBIMを活用するのではなく,建設コストの透明性や正確なコスト把握,建物のLCCの最適化など, コストマネジメントの観点からBIMモデルを構築することが必要である。

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RFID重要物品管理システム「Smartセーフティシリーズ」の開発

DBソリューション部担当部長 俣江 重隆

概要:
  RFIDを用いた重要物品管理システムSmartセーフティボックスの応用例として,以下に述べる事例について説明した。
  自立・移動式タイプは,壁付けが困難な場合や移動して利用したい場合に用いるタイプになる。貸出し用ICカード収容タイプは,貸出し用のICカードの管理に特化したタイプで25枚のカードが管理できる。 広域ネットワーク対応例は,全国の鍵の管理を本ボックスで行い,ネットワークで集中監視できるようにしたシステムである。 自転車シェアリングでの利用例は,駅自転車置き場に本ボックスを設置し,事前に登録した利用者にICカードを配布して,自転車の鍵の貸出を自動的に行う例になる。
  新シリーズとして,タブレットやノートPCの個別管理が可能なSmartセーフティキャビネットの開発および重要文書管理が精度よく行えるSmartセーフティロッカーの開発を進めている。

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知的財産権法改正に関する動向

EHS&S研究センター知財マネージャー 企画部 橋 広樹

概要:
  近年では,国際競争の激しさが増す厳しい情勢下において,日本のさらなるイノベーション促進を目的とした知的財産制度の整備が次々と行われている。
  2015年には,職務発明制度の見直し〔特許法35条〕,料金の改定〔特許法等関係手数料令1条,特許法107条,商標法40条,商標法41条の2,商標法65条の7〕など, 2014年には,特許異議の申立て制度の創設〔特許法113条〕,商標保護対象の拡充〔商標法2条〕などが整備された。

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